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約一年前の、
≪どなた様も後悔なしの航海へ!!搭乗者1,000名大募集!!≫

という広告につられ、
私は今晴海埠頭に立っている。

(°。°。°という設定で主人公が夢を語る°。゜。°。°)

色々あった私の人生だった。
順風満帆ではなかったが波乱万丈と言うほどでもなかったしな。
まあ、過ぎてしまえば平々凡々そのものだったかもしれないな。

ここに至れば、誰でもこれまでの自分を振り返ってしまう。
そんな同じ思いの高齢者たちで溢れかえる”搭乗者様控室”に
向かって歩いている。

さっぱりと、身辺整理を終え、身の回りの荷物は既に送り、
今目にしているこの船の中で私を待っている筈だ。

一人100キロまでは無料だったのだが、
自分にはそんな大荷物は幸いにして無く、
100キロから自分の荷物の総重量を差し引いた分の
クーポン券を手に入れた。これは船の中で有効に使える。

いよいよこれから乗り込むのだな。。

目の前に停泊している大型豪華客船を眺めながら、
そのデカさに言葉を失い、圧倒されていた。

花曇りの空を背景に、堂々とした真っ白な大船舶が、
小さな自分を受け入れてくれている安心感が芽生えるのを感じてワクワクして来るのだった。

つづく


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さあ、出航だ。
皆の顔が明るい。
乗客は65才以上の高齢者ばかりなのに
自分を含めて全員が若さあふれる青年のようだった。

高さ数十メートルから地上を見下ろすと、足がすくんだ。
だがしかし、とても優雅な気分に浸れるのだった。
埠頭には数え切れない見送りの人々がひしめいていた。

乗り込む時から送迎セレモニーが盛大に行われており、
なんと空にも、たくさんのドローンから垂れ幕が下がり、
「行ってらっしゃい」「お疲れ様でした」「いつまでもお元気で」・・などと書かれていて、ついホロリとさせてくれる。

華やかに展開されるそれらを受けながら、
何やら段々心に余裕が生まれて来て、
ビックリの連続を楽しんでいる自分に気付かされた。

この私を取り巻く状況の全てが、我が国初めての試みであり、
そこに、いの一番に参加できた自分を誇らしく思うのだった。

まるで、成功を願う多くの人々の、熱い思いも一緒に
積み込まれているかの様だ。

そう、
この船は、何年も掛けて世界中を巡る、
人生の終わりを迎えるまで乗り放題の・・

「船のマイホーム」・・なのだ。


つづく


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