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明けましておめでとうございます


銀座の街角から

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今年もよろしくお願い致します。




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そこは閑静な住宅街だった。

3階建てコンクリート造の、
日当たりの良い3階に大家さんが住み、
犬を飼っていた私は、細長い庭付きの1階に住んでいた。

坂の多いその辺りの地形を活かした
オシャレなエントランスの、階段を数段上がってその二倍数の階段を
下りると、短い廊下の突き当りに私の部屋のドアがあった。

廊下の途中両側に両隣の玄関ドアがある造りとなっている。

新婚夫婦が右隣に引っ越して来た。
奥さんのお腹は既に大きかった。

夢と希望に溢れているのが、挨拶した笑顔に艶々と表れていた。
道から見える洗濯物さえも、幸せそうに揺れていた。

夫の方を一度も見たことがないが、
ギターが趣味なのは、夜中にずっと同じ曲を弾き倒していたため、
それで分かった。

初めはCDで繰り返し聞いているのかと思っていた。

だが、音量を控えめにしているのも分かったし、
建物の構造上なのか遠くの方から聞こえるような感じだったし、
非常識であっても一々気にしていたら、集合住宅には住めないのである。

それに、私も犬を飼っていることから、いつ迷惑を掛けるかもしれないと思い
「また、同じ曲だな…」と思いはしたが、苦情を言うつもりもなかった。

その内、赤ちゃんの泣き声が聞こえるようになり、
ああ、生まれたんだなと思っていた。

子供をおんぶした奥さんに会った時は、
「おめでとうございます。可愛いですね。」と普通に挨拶を交わした。

その時、
「主人がいつもすみません。アコースティックギターを習っていて…」
と謝られ、

なんと、あれは本人が練習していたのかと、
でも狭い部屋の中、夜中の何時間かを、ほぼ同じ曲を繰り返し
身重の奥さんの横で弾いていたんだ…とちょっとビックリしたのだった。

奥さんの顔には心無しか疲労の影が見えたが、
出産、育児と毎日大変なんだなと思った。

子供が眠っているだろうに…ギターの音はそれからも時々聞こえていた。

結局3年後、犬の散歩中に道で会った時、「主人と別れました」と、
男の子と手を繋いで挨拶してくれた。
あのギターじゃ…無理もないわと心の中で思っていた。

以来、母子が気の毒に思え、
挨拶は勿論のこと、男の子にも積極的に話し掛け、
クリスマスには、物干し竿の先にこっそりと男の子のプレゼントを
掛けて置いたりした。

やがて彼女は、駅のドーナッツ屋さんで働くようになっていた。

ある夜、
店へ出勤する時間帯、外から帰った母と子が手を繋いで
部屋への階段を下りて来る所に、バッタリと出くわした。

どちらからともなく「行ってらっしゃい」、
「行って来ます」と笑顔で挨拶を交わすと、

男の子は着物姿の私を初めて目にし、驚いたのか、
見慣れないものを見たからだと今も固く信じているが、

明らかに、怖がっちゃいけないという必死の作り笑顔で、私を指差し言った。



「…おばけ?」


・・・確かに・・化けた




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オバケじゃないってば…




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